1994年に生まれたこの庭。
どれだけの人がこの庭を見てきただろう。
どんな思いでこの庭は作られたのだろう。
見なかったもの、見えなかったものはどんな姿をしていたのか。
すべては見えなくて、見なくてもいい。
それでも──見なかったものがあったということは知っていたいし、ほんの少しだけ「見てみよう」としてみてもいいかもしれない。
数多な記憶を宿すさまざまな布を通して、見えなかった“透明なかたち”を見つめてみる。
あなたには、いったいどんな庭に見えるだろう。
大川友希
「いんざいの不思議な庭」は、印西市文化ホール2階にあるガラスに囲まれた中庭を舞台に、来館者とアート作品との出会い、そして作品を通じた新たな気づきの機会を提供しようとする試みです。
3回目を迎える今回は、古着や布を使った作品で知られる彫刻家、大川友希氏を迎え、大川氏が本展のために印西市民と協働して制作した新作《透明なかたち、やわらかな庭》を紹介いたします。
本作品にて中庭の窓を覆うハンカチや布は、一枚一枚が印西市民や近隣住民の皆さんから寄せられた「思い出の布」です。1994年の開館から30年以上の時を経た印西市文化ホールと、地域に暮らす皆さん、それぞれが辿ってきた記憶が中庭にて重なります。
普段は見慣れた中庭を、作品越しに「すかしてみる」という“二重の視点”が、見過ごしてきた他者、そして自分自身の記憶に思いを馳せる契機となれば幸いです。
普段の文化ホールとは様相の異なる「不思議な庭」にて、ひととき日常の視点から離れた新しい出会いをお楽しみください。


